嫌な人と距離をとる

他者との距離感についてのテーマの3回目です。


自分が安全だと感じる状態、範囲の感覚についてが1回目

2回目は、周囲の人との位置関係のイメージをマッピングしてみました。

そしてそのマッピングの中で、「自分の安全圏をぶち破ってくる」にも関わらず、自分の世界に位置がある人の、その距離感についてどうするか、ということを最後に書きました。


その人と、一定の距離を保つことが可能ならば、ぜひそうしましょう!

「お付き合いしとかないといけないんじゃないか…」というような関係の場合でも、礼節を保った対応に留めておけばOKなんじゃないでしょうか?

笑顔で挨拶する。

お礼は言う。

軽い世間話程度は、円滑なコミュニケーションとして行う(やってもいいと思うとき&時間があるとき限定)。

このくらいでOKでは?

それ以上のことを、この距離の人とする必要はないのではないでしょうか。

だって、そんな距離の人ですから!

「そうは言っても…」と、モヤモヤ感じたり、不安がムクムクと起きるようでしたら、それは、自分の中に、そういう不安感にまつわる、もともとのテーマがあると考えられます。

(それはカウンセリングで取り上げていくのに、よいテーマでしょう。)



では、一定の距離を保つことが難しい人の場合。

自分にとって良いことはないとか、良いこともあるけど害が大きくて差し引きマイナスだと感じるのならば、

生きていく中で、今の状況で、「自分の安全圏をぶち破ってくる人」との関係に、もっとずっと距離をとる、あるいは、関係を完全に断つ(=あなたの世界からは出てもらう)ことは無理なのでしょうか?

それはどんな人でしょう?

家族?

職場の人?

学校の同級生?

隣の家の人?

ママ友?


作家の高橋源一郎さんは、「家族はたまたま一緒の船に乗り合わせたメンバーにすぎない。だから行先が変わったら、船を乗り換えたらいいんだ」ということをよく書いています。

もしかしたら、自分はもう、その人とは行先が異なっているかもしれません。

それなら、その人はもう自分の世界にはいなくてもいいのです。


そう思えたとき、その「船」から出るのは、相手ではありません。自分なのです。

そうするのは、悔しい気持ちになるかもしれないけれど。

自分が、船を出て、自分の船をつくったり見つけたりして、漕ぎ出さなければなりません。


カウンセリングで、自分を攻撃する相手(親密な関係や近い関係の人)に対して、距離を取りたい!と感じられるまでになったときに、

「私の近くに来ないで!」

「私をもうこれ以上傷つけないで!」

「私のことを放っておいて!」

と言うクライエントさんがいます。

ここまで思えるようになったのは、ある意味、すごいことです。

今までは傷つけられっぱなしで、無力感でいっぱいだったのに、自分は傷ついているんだと自覚し、そして、攻撃から自分を守りたいとも思えるようになっているからです。


しかしこのような、相手に対する要求型の発言や思いは、自分を守る力は十分ではありません。

「私は、もうあなたと同じ世界(船)にはいない」と、きっぱり思い、言え、相手の世界から一歩踏み出すことで初めて、自分を守ることができます。


ブログではこんなふうにサラサラ書いていますが、これはとっても難しく、長い道のりであることを、私はたくさんのクライエントさんを通して知っています。

「こんなふうにできるようになるとはとても思えない」というのが普通です。ハードルが高すぎて、不安で、恐怖感も伴うことです。

カウンセリングでは、このプロセスを、とてもじっくり進めていきます。

一歩、一歩。でも確実に。着実に。