効果的なセラピーのために 「はじめに」

日本は心理療法に健康保険が適用されず、法・制度による補助もないため、利用料は残念ながら高額です。 1回の料金は3,000円程度から数万まで幅広いものの、金額と効果が比例するかどうかを事前に知ることはできませんし、実際、比較はとても困難です。 通常、心理療法は、1回や数回程度で終了したり、大きな変化や効果を実感しにくい治療法です。場合によっては年単位でかかることもあり、経済的・時間的負担は大きいというのが実情です。 利用者にとって手が届きにくいシステムになってしまっている背景事情はここではふれませんが、このような現実の中で、できるだけ費用を抑え、効果をなるべく早く感じられる可能性について考えてみたいと思います。 その要素として、次の4つに分けて整理してみます。 これら4つはどれも重要で、相互に影響しています。 これらについて認識し、意識し、取り組むことは、生活全体を安定した方向、よい方向、問題の改善につなげていく上で、大きな違いをもたらします。 ① 心理療法の種類の選択 ② 心理療法の支えになるもの、効果へ良い影響をもたらすもの ③ セラピストの質 ④ クライエントさんの側の要因 ⑤ ゴールはどこか? これから順に取り上げて書いていく予定ですが、私が行っている心理療法を受けていただくのに直接役立つだけでなく、他の異なる心理療法を受ける際にも役立つような書き方にしていきたいと思います。 とはいえ、読んだだけですぐにその通りに進むことはないでしょう。 この内容を頭の片隅におきながらカウンセリングを選び、受け、 カウンセリングを受けている中でまた参照し、確認する、いうことを少し続けてみると、 よりしっくりくる心理療法やカウンセラーを選ぶことができ、 カウンセリングのプロセスは、軌道修正しながらもゴールに向かって進むことができ、 その進みはよりスムーズになっていきます。 クライエントさんにとって、安全で、セラピーがよい変化をもたらすものへと進んでいくために、どれも欠かせない要素だと考えます。