心理士の急性神経症状体験記② ~不安と身体の深い関係
前回は、過呼吸に傾く状態を自分なりに呼吸調整し続けたことについて書きました。
過呼吸に傾きやすい動悸は、この後数日、断続的に起きましたが、動悸が急激に激しくなる時がありました。
それは、先生が「怖いこと」を言った時。
「死ぬでー!」(関西弁)
(注)そのくらい農薬曝露はヤバイんやでという意味。
「人工呼吸器を入れるかもしれへんからな~」(関西弁)
(注)そういう可能性も事前告知しとくで、という意味。
こういうことを聞いた瞬間、動悸と不安感が一瞬にしてブワッと全身を覆いました。
心臓がバクバク。
モヤモヤしたような不安ではなく、アラートが大音量でなっているような不安の感覚。
命の危機に直面したときの反応のような感じです。
えっ?思ってたよりずっと悪いかもってこと? 私、気楽に考えすぎ??
人工呼吸器ってー!?、ナニ?ナニ?いったいどうなるわけ???
不安な考えが広がりそうになるとき…
それはあまりにもわかりやすく、身体の反応と同時に起き、広がりました。
ですから、この不安感は身体の反応そのものだと思いました。
ということは、ある程度調整できるはず。
「不安なことは一旦置いといて、まずは身体を調整しよう。」
呼吸困難は曝露直後ほど強くなくなり、むしろ動悸(心拍数の増加)が強く感じられたので、ヨガで行ってきた呼吸「鼻から3カウントで吸い、一旦止め、6カウントで吐く」を繰り返しました。
繰り返すうちに、不安感のほうは比較的早く収束してくれたのです。
動悸がある程度のところまで落ち着くのは、30分~1時間ぐらいかかったでしょうか…。でも気長に呼吸法を続けていました(ほかにすることもないし)。
動悸が鎮まるのに呼吸法が役立ったかどうかはわかりませんが、異常な不安感が比較的すぐに消えてくれたことには役立ったと思います。
そしてこの時も、自分なりに対処できるという気持ちを維持することができました。
幸いにも治療は順調に進み、症状がぶり返すことなく回復し、スムーズに退院できました。
ここで記述していることは、農薬中毒の対処法ではありません。
治療は薬剤によって行います。
ヒトは、いつもとは異なる状態、それが急性で急激だと、覚醒反応が起きます。逆にフリーズ反応が起きる場合もあります。
どちらも神経が引き起こす状態です。
私が経験したのは、それが中毒症状として生じた上に、環境要因(先生の発言)や自分自身の不安感とも連動し、反応がより強まったり、弱まったりしたものでした。
神経は、人のからだ全身にあり、生命維持に重要な働きをしています。
内臓を動かしていたり、分泌をコントロールしていたりなど、意識に上らない働きをしているものであっても、
「息」と「動き」を通して、私たちは自分の身体へ働きかけることができます。
これは、普段でもできますし、「非常事態」の時にも可能です。
次回は、回復後に体験したことを。