「明日に架ける橋」になる

調べ物をしていて(一応、心理療法についての学術的なことです…💦)、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」に辿り着きました。ふしぎ。

子どもの頃から耳にしたことのある歌ですが、改めて聞いてみて、とても響きました。

これって、カウンセリングのプロセスそのもの…!




When you're weary, feeling small 

When tears are in your eyes, 

I will dry them all 


疲れ果て、自分がちっぽけな存在だと感じ、涙がにじんできたなら、

私がその涙を拭ってあげる


I'm on your side 

When times get rough 

And friends just can't be found 

Like a bridge over troubled water 

I will lay me down 

Like a bridge over troubled water 

I will lay me down 


私はあなたの味方。つらいときも、友だちがいないときも、

激しい流れに架かる橋のように

私が橋になろう


When you're down and out 

When you're on the street 

When evening falls so hard 

I will comfort you 


どん底にいるとき。ひとり街をさまよい歩くとき。夕暮れがつらく寂しいとき。

私が慰めてあげる


I'll take your part 

When darkness comes 

And pain is all around 

Like a bridge over troubled water 

I will lay me down 

Like a bridge over troubled water 

I will lay me down 


私はあなたを支えよう

暗闇がたちこめ、苦しくてたまらないときも

激しい流れに架かる橋のように、私が橋になろう



カウンセリングでは、クライエントさんを独りぼっちにしない、ということをとても大切にしています。

クライエントさんが抱えている辛い気持ち、

クライエントさんは、それをずっと一人で抱え、対処しないければならなかった。

だからカウンセリングで大切なのは、カウンセラーが、ちゃんと目の前にいること、そばにいること。

それを感じてもらえるよう、体験してもらえるよう、努めています。



Sail on silver girl 

Sail on by 

Your time has come to shine 

All your dreams are on their way 

See how they shine 


さあ漕ぎ出そう

帆を上げて

今こそあなたが輝くときなんだ

あなたの夢はもうそこにある

ほら光輝いているだろう


If you need a friend 

I'm sailing right behind 

Like a bridge over troubled water 

I will ease your mind 

Like a bridge over troubled water 

I will ease your mind 


心細いときは、私がすぐ後ろにいるよ

激しい流れに架かる橋のように、私が安心させてあげる

激しい流れに架かる橋のように、私が安心させてあげる



一人で感情を抱え、それに対処することは辛いことなので、クライエントさんは、自分のピュアな気持ちと、その気持ちを感じる自分自身を切り離して、遠くに押しやったり、自分からも見えないところへ閉じこめたりします。

それが痛みをなるべく感じずにいるために必要な手段だったのですから。

でもそうしてきたことで、クライエントさん自身が、自分の内側にある気持ちが見えなくなったり、

自分自身の深い思い、欲求、大切なものがわからなくなってしまったりします。

ですからカウンセリングでは、クライエントさんが、自分自身につながっていけるようにしていきます。



この詩の「私」。

それは、カウンセリングの初めのころはカウンセラーで、「あなた」はクライエントさんのようなイメージが私に浮かびました。


カウンセリングを続けていくと、クライエントさん自身が、自分の中にあるいろいろな自分や、自然に起こるたくさんの気持ちを大切にできるようになっていきます。

自分の内側に耳を傾け、そのそばにいて、必要であればケアをしてあげられるようになっていきます。

そうして、詩の「私」は、カウンセラーからクライエントさんに変化していき、クライエントさんの中にある自分自身や、クライエントさんの真の気持ちである「あなた」を想えるようになる。

そういうことを象徴する詩のように響いてきました。


クライエントさんが自分自身としっかりつながりを感じられてくると、「出発」のときがくるのです。

「出発」というイメージは、ここまで至ったクライエントさんによく体験されます。

帆をあげ、漕ぎ出していくとき、カウンセラーである私、クライエントさん自身が、

クライエントさんの内側にある自分のそばにいて、

もう一人ではないんだ、という気持ちで歩んでいきます。

光を感じ、世界が開け、道はつづいている

もう一人ではない出発。