感情に振り回されるのは「悪いこと」じゃない
「感情に振り回されないようになりたい」「もう少し落ち着いていられるようになりたい」と言うクライエントさんは少なくありません。
自分の感情のアップダウンが辛いし、
そういう状態で物事をこなすのは本当に大変で、
そして、そんなふうな自分を恥じたり、不十分だと感じたり。
「自分はちゃんといられていない」と感じているお話は、よく語られます。
身体や心の「反応」は、とても自然なことです。
でも「こんなことで動揺したり緊張するなんて」と思うと、自分がいたたまれないような気持ちになりますよね…。
このテーマについて、伝えたいこと、大事にしたいことがあります。
それは、反応自体は何も悪くない、ということです。
他の人よりも敏感な(そう感じるような)背景や原因はさまざまに考えられますが、それが何であれ、反応自体は自然だということ。
それに、このテーマに注目しているというのは、もうすでに、反応に完全に巻き込まれてしまっているわけではないのです!
なぜなら、①反応に気づいていて、②それを何とかしたい、と願う自分がいるのです。
完全に自分を見失っていたら、こういう思いは出てきません。
でも、そこまでわかってたとしても、その状態を自分でどうにもできない、というのが、辛いところだと想像します。
これに対しては、意識的にできることがあります。
①と②までできているのはすばらしいです!
その上で、ちょっとしたことをやってみるのを提案します。
それは、状況を変えることではなく、身体反応を変化させること、です。
しかも、「わざわざ」「時間をかけて」やることではなく、すぐその場でできることが便利です。
こういうとき、心臓がドキドキしているとか、肩に力が入っているとか、お腹がぎゅっとするとか、手が冷たくなるとか、身体がいろいろに反応していると思います。
なので、身体に働きかけるようなことが役に立つことが多いです。
大きく息を吐く。
逆に身体にもっと力を入れて(手をぎゅっと握るなど)、パッと抜く。
少し歩く。
目に留まったものを声に出していくつか言っていく。
トイレで用を足す。
これらは例ですが、微妙であっても、身体には何か変化が起きていると思います。
こういうことをいくつかやってみると、ピークの緊張感や動揺よりは、少しマシになるでしょう。
そしたら、さっきよりもちょっとマシになったかな?どうかな?と自分に注目し、確認してみてください。
マシになっていたら、それでOK!
①反応に気づいて、②何かしてみて、③効果の有無を確認する。
これを繰り返してみる作業は、自分が、自分のためにしてあげている、すごいケアだと私は思います。
これは意識して取り組むことですが、実は誰でも、無意識に、自分のための「ケア」を行っているのです。
24時間緊張や動揺が続くということはありませんから。
無意識に何かやっていたり、身体が自然に何かやっていて、その緊張を和らげています。
「後から気づくけれど、その時には動揺がひどくてパニックのようなんです。」
これはよくあることで、これもとっても普通です。
だいたい、少し後になってから、あるいは、ようやく落ち着きを感じられてから、自分の反応を振り返りますから。
そしたら、まず、自分をいたわってあげてほしいな、と思います。
しんどかったですよね。
そういう中で、よく耐えたり、頑張ったりしましたね。
身体も心も疲れてるかもしれませんね。ちょっと楽にしてあげてほしいな…と思います。
そしていつのまにかどこかで、無意識に何かが起こって、さっきよりも少しマシになっている、その自分の身体、自分自身の不思議な力に思いを馳せてみませんか。
あなたの身体は、あなたが思っているよりも、きっと、ずっとすごいケアをしてくれていることに。