「自分のペース」。どうやったらつかめるようになるでしょう?

20歳代のころ、とても仕事が忙しかった時がありました。
その業務を終えたあと、微熱が10日ほど続きました。風邪の症状はなく、ただ熱っぽくて重だるい。
あの10日ほどの微熱は、私の身心には過重すぎたことによる反応だったのかなと自己診断しています。
また私は、強いストレスが続くと、決まってぎっくり腰になりました。動けないぐらい重いのも、気を付ければ普通に動ける程度に軽いのも含め、これまで何度やらかしたことか…(泣)。
自分のペースではなかったときに、私はこういう「反応」が出ています。


前回のブログは、「自分のペース」がテーマでした。
「自分のペース」。
これを感じ、知ること自体、簡単ではないですよね…。


自分のペースって何でしょう?
どうやったらそれを感じることができるでしょうか。



モラハラやDVの夫と離れる決意をし、自分の「家」に暮らすようになったクライエントさんは、「本当にホッとしています!」「こんなに毎日が楽だなんて!」と言います。

パワハラをする上司や同僚、そこまでではなくても、周りを顧みないような一方的なペースで仕事をする人と一緒に働かざるを得なかった方が、職場環境が変わって、「なんてやりやすいんだ!」と晴れ晴れするお話も聞きます。

周囲に嫌な人や意地悪な人がいるわけではないけれど、毎日定刻に合わせて動かなければならない通勤や通学、
決められていたり、求められている時間で動かなければならないこと。
そこから解放されて、心身ともにホッとしたこと。これは、多くの人が経験していると思います。


自分のペースを感じるためには、環境からの影響ができるだけないスペースにいる必要があることを、こういうお話が示してくれています。
そのスペースは、空間でもあり、時間でもあります。


そういうスペースをとっても、自分のペースがわからない、という方は少なくありません。
子どもの頃に虐待を受けた人や養育者の関わりが強すぎた人、
いじめやハラスメント、暴力を受けたことがある人、
子育てや介護をしている人、
こういう方は、自分のペースがわからなくなっていることが多く見られます。
周囲が「良い/悪い」環境・人かどうかということに関わらず、共通するのは、周囲の人や状況に合わせざるをえないとか、本能的に反応・対応し続けなければならない、という点です。


周囲からの介入や圧力にさらされて生きてきた人、周囲の要求が強い環境に長くいる方は、「自分のペース」を感じることが、最初は難しいことがあります。
ずっと周りに合わせてきていたり、応えることが第一だったので、自分を後回しにし続けた結果、「…私のペースって…???」と強く戸惑われます。
その戸惑いは、不安や恐怖感として感じることもあります。
周りに合わせることがあまりにも「通常運転」だったので、そうではないことに不安を感じるのはとても自然な感情です。


「自分のスペースにいる」時間をとるというのは、慣れや経験が役にたちます。
ほんの5分ぐらいでもいいのです。
大事なのは、「自分のスペースにいる」という意識をもってその時間を過ごすこと。
湯船につかる時間、電車に乗っている時間、トイレに入った数分でも構いません。
ただぼんやり何となく過ごすのではなく、「今自分の身体や気持ちはどんなふうかな?」ということに注目してみる、これがポイント。


カウンセリングは、「自分のスペース」をつくり、そのスペースにいるということを体験する時間です。
カウンセリングは、一人ではわからない、できない、どうしたらいいかわからない、という方のために、少しずつ「自分のスペース」を体験してもらいます。
最初はほんの10秒ぐらいから行ったりします。
少しずつ、少しずつ。
その積み重ねが慣れになり、慣れが安心になり、
そうして、しっかりと「自分」に留まる経験ができるようになる。
それが、カウンセリングで行っていることです。