カウンセラーのサポートで怒りを表してみる

以前のブログで、トレーニングとして怒りのワークをしたときに、クライエント役をした私は、怒るのではなく、涙が出てきた体験について書きました。

怒りを感じた場面を取り上げてワークするというものだったのですが、私はカウンセラー役の人の眼差しが目に入ってきたとたん、ワッと涙があふれてきたのです。

私はその出来事では、とてもいや~な気持ちでした。でも、いわゆる「TPO」に添って、何も言わず、スルーしてその場をやり過ごしました。

だから相手に対して、ハッキリ言ってみるチャンスとして選んだ出来事だったのです。

でも私の涙が言っていたのは、私はあの時、誰かにそばにいてほしかったんだ、私はそのくらい、一人という不安があったのだという気持ちでした。だから相手にハッキリ言うことはできず、スルーしたんだ、とわかりました。


前回のブログで、怒りを感じられないとか、怒りを表すことができない背景についていくつか書きました。

怒りを感じることも、怒りを相手に示すことも、自分にある程度のパワーを感じていないとできません。パワーというのは、相手より強いかどうかというものではなく、自分がしっかりと立っているというような、安定感や自信、確かさ、などのような感覚です。

前回のブログに書いたように、社会的にも個人的にも、立場が弱かったり低かったりするほうの人は、このパワーを削がれる体験をしてきています。

ですから、パワーを持っていない、感じられないことは、決して自分の個人的な問題ではありません。

ただ、支えてくれたり、認めてくれたり、つながってくれる「誰か」がそばにいなかった、そういうチャンスに恵まれなかった、そういうものがない社会なのだ、というだけです。


カウンセリングでは、カウンセラーがその「誰か」になります。

あの時は一人だった。でも今は一人じゃない。

一人じゃないという感覚、カウンセラーが一緒にいるんだという感覚をしっかり感じてもらいます。


カウンセリングの中では、実際に「怒る」という体験をしていただくことがあります。

具体的な場面で、どんなふうに言いたいか。どんな態度をとりたいか。

それを実際にやってみてもらいます。


こんなふうに、カウンセリングで実際に怒ってみることは、イメージであっても、かなりパワフルな体験になります。

身体で感じ、身体(声)で表し、やってみた感じをまた身体で感じてみる、ということが大きいのです。

自転車の乗り方は、本を読んでできるようにはならない。実際に乗って練習してこそ乗りこなせるようになる、そういうことと同じです。

そこではカウンセラーがしっかりとサポートします。