「それは身体の叡智です」➂ ~身体志向の心理療法の特徴とは?
ボディ・ワーク(オステオパシー)の体験から始めたテーマの3回目です。
身体に働きかける、身体を重要視するという点で共通するボディ・ワークと身体志向の心理療法。
さて、心理療法のもう一つの特徴とは?
ボディ・ワークに限らず、気持ちの良いことや健康に良さそうなことを行ったり、服薬をしたりしたとき、効果や変化を感じる(あるいは感じない)、ということが起きます。
心理療法で注目するのは、このような「気づき」自体です。
効果や変化を感じる/感じないということに気づくというのは、そこに注意が向かう「私」がいます。
それはどんな効果(変化)なのか?
身体はどのようにその効果(変化)を私に知らせてくれているのだろうか?
こういったことに、ゆっくり、しっかりと注目していき、自分なりの言葉で表していきます。
効果・変化に気づき、それに注意を向け、その感覚に留まってみると、感覚はより明確になったり、また新たな感覚が起きたりします。
そういう移り変わりもまた重要な体験。
体験し、気づき、それを味わい、その体験を言葉にしてみる。
言葉にしてみて、その言葉がしっくりときたら、それをまた体験していく。
これを繰り返していくと、不思議なことに、「全体性」のような感覚が生まれてきます。
そしてそこに、「私」の本質的な体験の感覚が存在します。
心理療法の特徴は、このように、注意を向けること、それを体験していくこと、言葉にすること、
この繰り返しによって、自己感の体験を深めていくところにあります。
人間は、大きな大脳皮質を持ったことで、物事を言語やイメージで思考したり、記憶するという点に、他の動物との大きな違いがあります。
身体志向の心理療法は、身体で起きる体験を深めていくと同時に、その体験を認識的にも深めていき、それらを統合するというのが特徴になります。