「それは身体の叡智です」① ~オステオパシーの体験から
先日、知り合いのオステオパシー治療家の施術を受けました。
山中さんが身体について語るお話が私は大好きで、一度受けてみたいと思っていたセラピーでした。
心理療法を行う私が言うのはなんですが💦、言葉や語りを用いる心理療法よりも、身体へアプローチする治療法のほうがずっとパワフルで効果が大きいと私は思ってきました。
そう思うようになったのは、大学院のときに受けたさまざまな身体志向の心理療法の経験からなのですが、
身体に記憶されているもの、
身体自身が求めていること、
こういう体験をすると、その叡智に驚き、興味を持ち、深い安心を感じたのです。
「私」が頑張らなくても、身体は何とかしようとしてきたし、何とかしようとしてくれているのだ…と。
身体へのアプローチは、身体の痛みや不具合だけでなく、心の不調や苦しみも変化をもたらします。
このようなボディ・セラピーも多種多様にあるのですが、山中さんが行っているのはバイオダイナミクス・オステオパシーというものです。
山中さんは、同じ空間にいるところから、そしてクライエントさんに触れる前から施術は始まっているということを話してくれたことがありました。
2人がいるその空間で、身体はどんなふうか?
そして触れるのは硬貨1枚の重さほどの、そっと添えるような手。
それが、身体が必要なことが起きるプロセスなのだということを、優しく穏やかな声で話されます。
私自身の体験を少し書きますね。
私が横になった布団の周りで、山中さんがそっと声をかけてきました。
山中さんがそこにいて、私はどんなふうに感じるか?
最初に立っていた場所、立っていること自体に、私(の身体)は微妙な違和感を感じていました。
それを伝えると、山中さんはそっと動いて、私の身体がOKに感じる場所を確かめます。
これは心理療法でも行う場合があります。特に面談での初回。
椅子は置かれていますが、私が座る位置、クライエントさんが座る位置や方向など、どこが「しっくり」くるか、まず確かめてもらう時間を取る場合があります。
このような時間を過ごすことには、いろいろな意味があります。
私の体験に戻りましょう。
私の身体がOKだと感じた場所で、山中さんが、そーーっと手を首元と腰に当てました。
その手のあたたかさと心地よさ。
頭部と胸部に広がる”雑念”のワサワサ感と、それがふーっと遠のく感じの行ったり来たりに気づきながら、いつのまにか私はまどろんでいました。
添えられている手が、身体の別のところへ移っていることを、意識の遠くに感じながら。
何もかもが静かになっていきます。身体も頭も、この空間も。
…そうして爆睡、してました。
どのくらい経ったのかわかりませんが、意識が遠くの方からゆっくりと戻ってきたのに気づいてきました。
意識が身体へと近づくにつれ、手先・足先がほんの少し動きます。
ちょうどそのぴったりのタイミングで、山中さんの声も遠くから聞こえてきました。
山中さんが、私の身体が目覚めようとしているのを知っていたようです。
施術後、私の身体についてコメントをいただきました。
それは、近頃私が感じていた不調や、私が自分の身体について「課題」に感じてきたことそのものでした。
オステオパシーは、施術後3日ぐらい「動く」そうです。
私は施術前に呼吸器系の不調や珍しく不眠があったのですが、施術後数日たって、それがなくなっているのに気づきました。
「課題」のほうは、もう少し施術を受ける必要はありそうです。
山中さんの施術は、「私」という自意識を遠くに離していき、身体そのものでいた時間でした。
自分の身体への敬意を感じられた時間。
それは深いヒーリング体験です。
次回は私が行っている心理療法との関連や、心理療法の意味について書きたいと思います。