涵養(かんよう)~自然に浸み込むペース


これは、乾いた畑の土に水を浸み込ませていく工夫の動画です。

水袋が水流の先頭にあって、その重みで水がゆっくりと流れていくようにしています。

乾いた土に水を撒くと、表面を滑り落ち、流れてしまい、土の中に浸み込みません。


我が家の小さな家庭菜園スペースに、新しく苗や種を植えて水やりをしました。

かなり長い時間水を撒いたのですが、軽く掘ってみてびっくり。

ほんの表面しか濡れておらず、その下はまだカラカラ。


水を浸み込ませるには、霧のような細かい水を、スプリンクラーなどで時間をかけて撒いたり、この動画のように、ゆっくりとした流れを作らなければなりません。

水が土深く浸み込んでいくには、相当な時間がかかるのです。



「涵養(かんよう)」とは、地表の水が浸み込み、地下水の層へ水が供給されること。


土に水がしっかりと浸み込んでいくには、ゆっくりとした時間が必要だということに重ね、無理をしないで少しずつ養うこと、という意味もあります。



この「無理をしない」というのは、自然のペースであり、科学的には物理的可能な動き、と言えます。


人間の身体があり得ない方向へ曲がったり反ったりできないし、あり得ないスピードで動くこともできないのにもかかわらず、私たちは、心に対しては「ありえない」動きやスピードを期待してしまうことがあります。

心の自由さや無限さを知っているし、いろいろな人の、いろいろな状況を見聞きするので、ミラクルを求めたくなります。

自分の心の「乾き具合」、「土の状態」はともかく、しっとりと潤う緑豊かな大地に早くなってほしい、と願いたくなります。


この深く強い願いはそのままに、

でも同時に、心の大地にも目を向けていきたい。

初めはなかなか浸透せずにもどかしく感じても、ゆっくり地道に水をやり続けると、しっとりよい土になっていきます。