「わかってもらえた」と感じられるまで

クライエントさんにとって、「わかってもらえている」と感じられることは、何よりも大きく、大事なことです。

私自身もクライエントとして、あるいはスーパーバイジー(指導者からカウンセリングについての指導を受ける者を「スーパーバイジー」と言います)として、「わかってもらえている」と感じられることがどれほど重要か実感します。


そういう自分自身の経験も踏まえて、私がカウンセラーとして日々思うのは、クライエントさんの忍耐力への感謝です。


自分の思いを、傷つきや苦しみを、自分自身を、それをまだ知らない私へ伝えようと頑張ったり、努力したりしてくれていること。

自分なりのやり方、自分なりの言葉を探ってくれていること。

それをするのに力を使い、気をつかい、頭も身体もつかっていること。


「わかってもらえていない」と感じる苦しさ、哀しさ、難しさ、空しさ、孤独感がありながらも、見切りをつけずに続けてくれているとき、

私のカウンセリングを受けることによって辛い気持ちをCLさんが感じることに、私もまた苦しくなり、恥じ入る気持ちが大きくなります。

同時に、踏ん張ってくれているその思いに応えたいという思い、

踏ん張ってくれていることへの深い畏敬と感謝があります。


私への不満や怒りをはっきりと出してくれたならば、それは私にとってとても助かりますし、有難いことです。

修復への糸口を提示してくれたのですから。


何となくのような違和感や居心地の悪さをCLさんは感じてるのではないか…、と私の方がつかめたとしたら、それを大事にしたい。


「わかってもらえた」という体験は、それ自体がカウンセリングでとても重要ですが、

そこへ至るまでのプロセスも重要です。

「わかってもらえた」という体験へ至るまでに、どれほどのエネルギーをクライエントさんがかけているだろう、

それをいつも心に置いています。