思いを声にすること

クライエントさんの内側にたくさんの思いがあるけれど、それが言葉にならないとき。

言いたいことはあるけれど、言葉にして言おうとすると止まってしまうようなとき、

クライエントさんの身体では、それが喉に現れることが多くみられます。

「喉に何かが詰まった感じがします」とか、「喉が締め付けられる感じです」と語ってくれます。

喉は、ギュッとした緊張感が現れたり、ゴクリと飲込む様子があったりします。


思いをまだうまく言葉にして伝えられない小さい子どもは、大声で泣いたり、大きな動きが出たり、叫び声のようなもので表したりします。

子どもが身体全部を使って表そうとするエネルギーは、大人になると、喉まわりに集約され、締め付けや詰まりとして現れているのかもしれません。


それは、思いを自由に、声にして出すことができないということを象徴しているようでもあり、身体に刻み込まれているようでもあります。

出したものを、思いっきり拒否されたり、

出しても相手に届かなかったり、

出すと批判された経験や、

出したらひどい目にあった、など

そうすると、思いが現れることはネガティブな経験として記憶されるでしょうし、そういう思いを繰り返さないよう、思いが出ようとするのを喉が全力で止めるのも道理があります。

喉は、「危ないよ!」と、まるで門番のように注意深く守っているイメージがわきます。


そういう意味では、喉まわりは、これまで一生懸命頑張ってきてくれたのですよね。これ以上危ない目にも、辛い目にもあわないように…。

でもカウンセリングでは、その緊張を解きほぐし、内側にあった思いを、自分の言葉で、自分のペースで、自分の声で出していくことを応援しています。

そうやって出てきてくれた声は、クライエントさんそのものであることが、聞いている私にもしっかり伝わってきます。

思いがのった言葉、その声は、目には見えないものですが、確かに「ある」のです。

聞いている私にも伝わり、私も感じるその確かさは、「あぁ!!!」と腸(はらわた)に響くというか…、これを言葉では表す能力がないことが悔しく残念です~。


「言いたいこと」の内容よりもむしろ、クライエントさんの内側から立ち現れてきたものを、ただそのままに表出したとき、

それが「本当の声」。

クライエントさんが、喉を解放/開放し、声を自由に出させてあげるという体験。

私も現在挑戦中です。次回はそのことを。