感情反応“遅延型”

アレルギー反応に、すぐに反応する即時型と、症状が後になって現れる遅延型があります。

感情も、その場ですぐ感じるときと、後になってから感じることがありませんか?

感情がどのように現れてくるかという「タイプ診断」のようなものがあるわけではありませんが、このようなアレルギー反応で例えるならば、私の感情は”遅延型“だなぁと思います。

感情を、それを感じるはずのその場ではぼんやりとしか感じられず、後になって、ジワジワと感情が実感されてくることが多くあります。

特に不快・不愉快なほうの感情が遅れてやってくる傾向が強いです。


思い起こすと、私はどうも感情は全般的に”遅延型”な反応だったと思います。

小さなころから、うれしいことも悲しいことも、ワクワクすることも嫌なことも、パッとその場では現れず、ゆ~っくりと、ジワ~ッと感じているほうだったのを覚えています。

心の中でそれを感じている頃には、その出来事やそれに関わった人たちは移って行ってしまっているので、周りの人はきっとよくわからなかったでしょうし、私もまた、気持ちを共有するタイミングを失っていたと思います。


自分がこんなふうなので、感情という波がどんなふうに心へ打ち寄せてくるのかは、人によって、状況によって多様なのだとわかります。

波が、入江と岸壁では違っているし、天候や季節によっても違っているように。


感情がいつ現れ、いつ心の中で大きくなるのか、というタイミングの問題。

「スムーズさ」の点では大事だとは思いますが、私はあまり重視していません。

「なんでその時に言わないんだ!」と怒って言う人がいますし、逆に、「なぜ自分はその場でちゃんと気持ちを言えないんだろう」と辛い気持ちになる人もいますが、タイミングの問題にしてしまうと、タイミングを合わせること自体が優先されてしまうように思います。

でもそれは、誰の、何のためのタイミング?


それよりもむしろ、感情という波が、自然のままに打ち寄せてきたことを大切にしたいのです。

そうやって岸にやってきたものを、ただその流れや音や匂いのままに感じる。

いつやってきてもいい。

感情が、感情自体の動きのままに、ただそのままにやってきたならば、それは本当に大切な「気持ち」。

ゆっくりとゆっくりとやってきたのであっても、

波が、静かに、じんわりと砂浜に染み入る感じを、カウンセリングで一緒に見ていたいと思います。