アンガー・マネジメントではコントロールできない怒り
怒りのコントロールは、家族との関係や職場、教育などの場において、重要なことだと考えられるようになり、「アンガー・マネジメント」という、怒りを調整するプログラムやトレーニングがあります。
以前のブログにも書きましたが、「怒り」は自然な感情ですから、それ自体が問題というわけではありません。
それでも、怒りを他者にぶつけてしまうのは問題となる場合がありますし、強すぎる怒りを感じること自体、自分にとって辛いことでもあります。
怒りのネガティブなパワーが、他者に向かっても、自分に向かっても、問題だったり、苦しかったりします。
「アンガー・マネジメント」でよく示されているのは、怒りを鎮めるのではなく、「一呼吸置く」「10数える」「モードを変える」など、怒っている状態から距離をとる方法です。
そしてそれを意識し、練習するということが提案されています。
そうすると、衝動性が抑えられ、怒りの本当の意味や目的を理解し、それに応じた対応ができる、というものです。
そんなのわかってる~!
って思いませんか?
気を付けることはできるんです。
だって、自分で「問題だ」と自覚しているし、「何とかしよう」とも思ってますから。
そうやってある程度意識できている範囲では、何とか怒らないようにできますが、
でも時々爆発してしまう。
......そして落ち込む.....
そういうことはありませんか?(←私はあります💦子育てアルアルでございます)
「アンガー・マネジメント」のプログラムやトレーニングなどに取り組んでいても、最も難しい点はここにあると思います。
それは、怒りという、人間の生物的な反応の性質が十分に反映されていないことが背景にあると考えられます。
頑張って取り組んできたのにも関わらず、衝動的な怒りパワーは莫大です。そのパワフルさに圧倒され、自分の努力不足や能力不足のように感じてしまいます。
怒ってしまったこと、そのことで生じた問題に直面し、自分を恥じる気持ちも生まれてしまいます。
たいていの場合は、私たちは、自分が置かれている状況を意識したり、理解していて、怒りは感じても、その中で何とか対応しようとします。
でも衝動性のある怒り(これが問題とみなされるほうの「怒り」です)は、神経生理学的な反応なので、「考える」ときの脳神経よりもずっと早いスピードで、別の脳神経が反応します。
だから、せっかく頑張って練習したり、意識的に気をつけてきたとしても、それとは違う“配線”で神経が反応しているので、「怒ってしまう」のです。
ではどうやってこの衝動的な「怒り」を扱うことができるでしょうか?
それは、神経生理学的な反応としての怒りそのものに働きかけることが必要です。
長くなりましたので続きは次回。