叶わない思いと一緒にいること
先日、スーパーに入ったとき、ちょうど同じタイミングで入ってきた親子がいました。ベビーカーに乗っていた小さな男の子が、グズグズと泣いている声が聞こえました。
男の子はどうもお店に入るのを嫌がっていた様子です。たぶん、何か他のことを求めていたのに、思うようにならなくてグズグズしていたようです。
お母さんは優しく声をかけていましたが、急いで買い物をすませたい様子でした。
すると男の子はお店中に響くような金切声を上げて、盛大に泣き始めました。
これって、子育てアルアルですよね…。
お母さんはやること山盛りですから、いつも子どもに合わせて行動するのは無理ですし、
子どものほうも、自分の思いを主張するのはごく自然なことです。
この場面にであい、心に浮かんだことがありました。
それは、子どもだけじゃなく、大人も、自分の思いを受け止めてもらいたいものだよなぁ、ということ。
「受け止めてもらう」ではなく、「一緒にいてもらう」という言い方でもいいかもしれません。
「わたしはこれをしたい!」とか「これは嫌だ!」という思いが、そのままかなわないことは、子どもであっても大人であっても、たくさんあります。
最初は、思いを通すことが重要でした。小さいことでも大きいことでも。「私が」望むことなのですから。
でもそのとおりにならないと、怒りや悲しみのような気持ちがあふれてきます。
子どもはそれをそのまま周囲へぶつけてきますし、大人も、大人なりの表現で、あるいはその人なりの表現で、周りへ伝えたりぶつけたりします。
思うようにならないとき、その思いをただただ聞いてもらうとか、
「そうだよねぇ」と共感してもらったり、
「〇〇がよかったんだよね」と思いを知っててもらったり。
そういうことで、気持ちは落ち着いていきます。
冒頭の男の子も、金切声を上げた時にはもう、思いが通らなかったこと自体よりも、それを放置されたと感じた気持ちのほうに苦しくなっていたのだろうと思います。
たぶん、少し止まって、自分の方を向いてくれて、「〇〇したかったんだよね」と言ってもらえたら、金切声にまではならなかったのだろうと思います。
(これが子育て真っ最中はとっても難しくて大変なんですけどね💦)
クライエントさんのお話を聞いていると、クライエントさんにとって大事なときに、「聞いてもらう」「見ててもらう」「そばにいてもらう」「声をかけてもらう」といった経験がなかったことが伺えることがあります。
そういうお話を聞いて、とても残念だし、哀しい気持ちになります。
だから、今、このカウンセリングにおいては、私はちゃんとクライエントさんのお話を聞いていられるようでありたい、と思います。
そして、過去に満たされなかったその思いと、今は二人で一緒にいたいと思います。