「癒し志向」のカウンセリングとは?

私がカウンセリングで取り入れているAEDP™心理療法は、「癒し志向」のアプローチです。

「癒し志向」というのは、問題の原因を見つけて、それを解決したり改善するというような考え方とは違うもの、という意味です。

今の問題や苦しみの原因は何か?とか、なぜこんなことになったのか?とか、何が悪かったり問題だったのだろうか、

というようなことは、あまり重視していません。

問題や原因を見つけて、それを取り除いたり、改善することができれば、「よくなる」というのは、一つの考え方です。

身体の病気は、そういう考えに基づいて治療しています。

問題や原因を見つけることができれば、納得感が生まれるでしょう。

その納得感は、安心感へとつながるかもしれません。

問題や原因がわかれば対処のしようがあると、期待が持てるように思うでしょう。


問題解決タイプの心理療法が役に立つことはもちろんあります。

でもそれが、根源的な苦しみの癒しにはつながらないことも、やはり多くあります。

そもそものテーマが、深く残る傷つきであればなおさらです。


心は、身体へのアプローチのようにいかないことも多いのです。


それは私自身、実感します。

自分の中にあるいろいろな痛み、悲しみ。

若い時にいろいろとやらかしてきましたし(汗)、何が問題なのか、わかってはいました。

知っていたし、理解もしていて、納得感はありましたが、

でもその納得感は、決して「癒し」ではありませんでした。

何というか、単に「知っている」というだけの感じです。


「癒し志向」というのは、苦しかったり悲しかったりしたことを、ちゃんと悼む作業であり、

その中で生きてきた力を称賛する作業であり、

そして何より、それを一人じゃなくて、誰かと一緒に行う作業です。



変えられない過去なのに、わざわざ悼む作業をしたりとか、

ダメダメだと感じる自分を変える練習をするわけでもないのに、

なぜ「癒し志向」に効果があるのでしょうか?


それは、キーワードが二つあります。

一つは「ちゃんと」。

「ちゃんと」とか「しっかりと」、あるいは「適切に」、「十分に」悼む。

これが、今まで抱えていた過去についての感じや、自分自身についての感じを、大きく変えていくのです。


もう一つは「一人じゃなくて誰か(カウンセラー)と」。

これが苦手だったり、拒否感を示す方もいます。

でもその苦手さや拒否感に、クライエントさんが抱えてきた孤独な哀しみがあるように感じます。

だからこそ、一人じゃなくて誰かと。

カウンセリングでのこの経験が、やはり、過去や自分自身への感じを大きく変えるのです。



「誰かと一緒に」ということについては、別のブログで取り上げていきます。