罪悪感の中にある共感の気持ちをひらく

罪悪感は、自分に向けられる苦しい感情です。


以前のブログで、「前提としての『罪』があるのかどうか」、ということを書きました。

今回は、少し違った視点から、この苦しい感情について書いてみます。


カウンセリングでテーマとなる罪悪感は、自分は悪いことをしてしまったとか、悪いことをしようとしている、ということが頭の中に渦巻いている状態です。

その行為や考えは受け入れがたいものであるために、この苦しい気持ちが自分に押し寄せ、打ちひしがれます。

その行為や考えは、自分だって喜んでやったとか、望んでいたというものでもないので、自分が求めてもいない結果に苦しみます。

以前のことであれば、その当時にはどういうことかわからなかった、あるいは、考えることができなかった、ということもあるでしょう。でもその意味を知る今は、過去を悔いる思いにさいなまれてしまいます。

これが重なっていったり、ずっと大きく残ったままでいると、自分自身の存在までも否定し、非難する気持ちになっていきます。


カウンセリングでは、この気持ちを、ゆっくりと、ゆっくりと、ひも解いていきたいと思っています。


そうしてひも解いたその「気持ちの箱」の中をのぞくと、いろいろなものがあることが見えてきます。


その一つが、クライエントさんの、他者を思う大きな気持ち。


罪悪感は、たいていは、誰かとのなかで起きた出来事から生まれます。

一つの大きな出来事かもしれないし、小さな日常が積み重なっていったかもしれません。

そこにいたその相手との関係の中で、罪悪感は生まれ、育っていきます。


そしてクライエントさんは、その相手のことを、重要な存在として思う気持ちが、しっかりとあることが見えてきます。


クライエントさんが他者に向けるその思い。

クライエントさんにとっての、その人。


それもまた、とても大切な感情だと思うのです。

罪悪感の背後にあったその思いを、箱の中から取り出して、ちゃんと光を当ててあげたいと思います。

その人は、どんなふうに重要なのか。クライエントさんの人生において、どんな存在の人なのか。



カウンセリングでは、たくさん聞かせてもらいたい。

「その罪悪感について、もっと話してもらえませんか?」