秘密と孤独

秘密を持たない人はいないと思います。

秘密にしていることを自分でも自覚していないような秘密もあるかもしれません。


Michael Slepian博士によると、人は一度に平均13個の秘密を持っているそうです。そしてそのうち5個は誰にも話したことがない。

最もよく見られた秘密は嘘をついたことでした。

嘘は秘密を守る方法の一つなのですが、嘘をついたこと自体が秘密になる、という構造があります。


「秘密を持つことの本当の問題は、秘密を隠すことではなく、秘密と共に生きていかなければならないこと」だと博士は言っています。

秘密は孤独と背中合わせです。


秘密の内容が、恥の感情と関係することも指摘されています。

その秘密が、「私は悪い人間だ」「価値のない人間だ」という評価に結び付いているとき、秘密はさらに心の奥底へとしまわれ、誰にも見せないよう孤立していきます。

そんな奥へとしまわれながら、でも常にその秘密は自分につきまとい、秘密によってもたらされた恥の感情に傷つけられてしまいます。


「秘密」の難しさは、秘密を隠すことではなく、秘密について一人で考え、一人で抱えていくこと。

秘密は、それが個人にとってとても重要なものだからこそ、誰かに打ちあけ、誰かと共有することで、孤独感や辛さを和らげてくれます。

カウンセリングは、クライエントさんが持っている「秘密」を他者(カウンセラー)と共有する場所だと言えるでしょう。

カウンセリングは、心のなかを探究していくプロセス。

自覚している「秘密」だけでなく、心の中で陰に隠れていたような気持ちや自分に出会う作業だからです。



秘密に関してカウンセリングでしばしば出される別のテーマについては、また別のブログで書きたいと思います。


Slepian博士のお話はこちらから聞くことができます。


秘密にまつわる様々なお話だけでなく、博士の個人的な経験も語っておられ、とても興味深いお話です。(英語)