誰にも備わる「成長に向かう力」
春。
昨冬に植えたプシュキニアの球根が芽を出しています。土から緑の芽がちょこっと顔を出したのを見て、じわーっとうれしい気持ちが広がります。
春は、こんなふうにあちこちで新芽を見る時間がうれしいです。
芽吹きの初めはたいていどれも、ごくわずかなものです。とても小さかったり、色もわかりにくかったり。
それを見つけたときは、「あー!やっぱり出てきた!」「出てきてくれてよかったー!」と思います。
写真の球根も、植えてから長い間ずっと土の中でした。でもやっぱりいました!
写真では大きく見えますが(アップで撮りました!)、小指の先ほどもない小さな芽です。
こんなふうな成長に向かう力、発展の力は、人にもあります。
この力は、子どもから青年期だけに留まるものではありません。誰にも、いつでも備わっているのです。
最近の脳神経科学では、脳は生涯を通じて、機能的、構造的な変化をし続けていることがわかっています。
このことを私はカウンセリングで実感しています。高齢者、後期高齢者の年齢にあたるクライエントさんも、感動的な変容を体験されているからです。
ですが、打ちひしがれていたり、自信がなくなっていたり、自己嫌悪に陥っていたり、不安で苦しんでいるときには、この「力」を自分で感じとることは簡単ではありません。
それは私自身にあてはめても感じることです。
植物は、適切な環境があれば、その植物自身の生命力が発揮されます。
土の中で時期を待っていた球根が、春の光を浴びて芽を出すように、
葉を落として枯れたように立つ木の枝先に、小さな柔らかい芽が突き出すように。
人も同じように、備わっている力が引き出されるには、「適切な環境」が必要です。
カウンセリングで行うのは、この「適切な環境」の中で、その人が持っている「力」を引き出し、感じてもらうことです。
「あきらめよりも成長を選ぶ力であり、停滞よりも変化を求める力であり、自己嫌悪よりも自己に対する肯定であり、孤独よりも人との結びつきを選ぶ力だったり、バイタリティあるエネルギーをもつ力」(「感情を癒す実践メソッド」花川ゆう子著、金剛出版)
※この力をAEDP™セラピーではトランスフォーマンスといい、これを見つけ育むことを重視します。
自分をよりよくしたい、よりよい自分でありたいと願う力。
「デカルトの誤り」などたくさんの著書がある、神経学者のアントニオ・R・ダマシオはこのように述べています。
"We are organized to be better than fine."
人は、十分OKだ、という状態よりも、さらに良くなるように、身体(脳)ができているということを述べています。
将来が見えない状態だったり、先は真っ暗にしか感じられなかったりしていたとしても、人間はよい方向へ向かおうとするようになっていることを、最新の脳神経科学が示しているのです。
小さなプシュキニアの芽は、こんなふうになっています。
開花まであと少し。