まだはっきりしていない感情に命をふきこむ

植木屋さんに、我が家の庭木の剪定に来てもらいました。

剪定って、枝をどうやって見てるんですか?と聞いたところ、

将来的な形をイメージし、それぞれの木の成長の特徴をふまえて、枝がこれからどうやって伸びるかを見て、それを邪魔しないように切ったり、成長を止めたい枝は止まるように切ったりする…

というようなことを教えてくれました。


園芸の本に書かれている剪定の仕方は、下向きの枝は切るとか、込み入った枝は切るとか…。

そういう決まったルールとは違った視点のお話に、「なるほどー!」と思いつつ、これは難しい…とも思いました。

植木屋さんに来てもらう前、大雪の重みで傷んでしまいそうだったので、私が急遽枝切りしたのですが、どうしても適当に切っちゃってたのです。


その木の特徴。

そして、これから伸ばしたい枝は?

そういう見極めや予測ができるのがプロなんだなぁと思いました。



カウンセリングでは、クライエントさんの心にあって、でもまだクライエントさんにはハッキリとは感じられていない感情やニーズを、私が感じることがあります。

クライエントさんとのやり取りを通じて、私に伝わってきて、そして、私自身の中にその感情やニーズが感じられてくるのです。

これは日常の中にもあることで、一緒に住んでいる人や、とても親しい人だと、どんなことを考えたり思っているかが、なんとなくわかる…ということはありませんか?

あまり意識しないレベルで、相手の話し方や表情などを感じ取っていて。


そうやって私自身に感じ取られたクライエントさんの感情やニーズを私が言葉にすると、まだはっきりとは形になっていなかったものが、クライエントさん自身の心に現われたり、大きくなったり、はっきりしてきたりします。

クライエントさんから私に写されてきたものを、クライエントさんが私から写しとる、という相互のプロセスです。

写真の現像をゆっくりと交互に行っていっている、というイメージでしょうか。

そうすると、クライエントさんは、ぼんやりとしていた写真の画像が明らかになってきて、

つまり自分の感情やニーズがはっきりと感じられるようになってきて、

さらに先に進めていくことができます。

こんなふうに、クライエントさんの中にあって、現れるのを待っているその感情やニーズを引き出すような、後押しするような、そういうサポートをする場面がカウンセリングの中であります。

※AEDP™セラピーでの「going beyond the mirroring」(ミラーリングからさらに踏み込んでいく)という概念です。



どの枝に注目するのか。

伸ばす枝はどれなのか。

切るべき枝は?

この木は、どんなふうに大きくなっていくのか。


本に書いてある「やり方」ではなくて、

今、目の前にある、ここに生えている、この木を見て、

この木が求めていることは何か。


そして大切なのは、木が自分の力で大きくなり、その木の命を生きること。

剪定はそれをサポートすることなのだな、と植木屋さんとお話したのでした。



これって、子育てや、職場での指導も、同じことが言えるなぁ…と思いました。



こんなふうに、カウンセリングと植木屋さんの剪定のお話がつながったひとときでした。