怒りのコントロールとは、ちゃんと怒ること。

怒りの感情は、感じられなかったり、怒りを出せないということだけでなく、逆に強すぎるのもやっかいに思うものです。

強すぎる、というのは、2つの状態が考えられます。


1)自分の中に怒りが充満している、イライラが爆発しそうで、抑えるのが苦しい。

2)他の人にイライラや怒りをぶつけてしまう。そして周囲の人と問題になる。


自分の“過剰な”怒りをテーマにカウンセリングに来られている場合、その時点で、クライエントさんはもう十分自分に向き合い、頑張り、一生懸命やってきたのだとわかります。

なぜなら、カウンセリングに来て、こんなふうに自分をコントロールしようとしているのですから。

そのクライエントさんの努力にも、そしてクライエントさんの怒りも、何も悪いことがない!と思います。

なぜならその努力は、何とかしようとしてきた、その思いそのもの。

そして怒りは、クライエントさんを傷つけ、苦しめ、痛めつけていることがあるのだ、自分には自分の思いがあるんだ!という、内側からのメッセージだからです。


でもクライエントさんは、怒りのパワーを、誰よりも知っているのだと思います。

そのパワーが、自分を傷つけ、苦しめてきたように、他の人も傷つけ、苦しめてしまうことを知っている。

だから、コントロールしないといけないと思っているのではないでしょうか。



「怒り」は、コントロールされることは望まない感情だと思います。怒りに限らず、どんな感情もコントロールされることは望みません。

感情が求めるのは、ちゃんと感じるということ。

怒りは、内側から一生懸命伝えようとしているものがある。

怒りは、その主張をちゃんと聞いてほしい、見てほしい、対処してほしいと言っていると思います。



カウンセリングで行うのは、クライエントさんにとって強すぎる怒り(感情)を、クライエントさんにとって大丈夫な範囲を調整しながら感じる作業です。

これは、クライエントさんが想定していた「コントロール」=怒りを抑え、穏やかな状態を維持すること、とは違うものでしょう。

コントロールとは、怒りを調整することではなく、怒り方、怒りの出し方を調整することです。


感情の調整には、①感情のエネルギーに合わせるという側面と、②対人・社会的に合わせるという側面があります。

生活をしていく中で求められるのは②のほう。

小さいころから、②が強調、強要される社会です。特に日本は…。

幼少期から大人になるまで②ばかりを求められてきていたら、怒りを抑えられているか、抑えられていないかというように、自分が「できているか/できていないか」という視点になっているのも仕方がありません。

怒ったら話を聞いてもらえなくなってしまったり、怒ったらもっと怒られたり、怒ることを非難・軽蔑されたりしてきたとしたら、

怒りを感じることが、否定的な気持ちや、不安、恥を感じることにつながっていきます。

だからもっとコントロールしないといけない、と思ってしまう。

それが、これまで苦しんできたり、難しかったりしてきた理由ではないでしょうか。


あなたが生活していく上で大事なのは②。そして生きていく上で大事なのは①。

だからカウンセリングでは①のほうを大切にしたいのです。

その大切なメッセージに注目して。

その一生懸命な主張にちゃんと耳を傾けてあげて。

そういうサポートをします。